< インタビュー >

西日本魚市株式会社

松本康明 常務取締役

 松浦魚市場で水揚げされる魚を仕分けし販売する西日本魚市株式会社の松本氏に生産者と荷受人という立場からお話を伺った。

 アジフライによる利益を今後、荷受人・生産者へと繋げるために課題となる貴重なお話を聞くことができた。

「アジフライの聖地」となったことで影響はありましたか?

 明らかに観光で市場に来られるお客様が増加しました。現在、松浦魚市場はHACCPに対応する「高度衛生管理型魚市場」への転換と「開かれた市場」を目指し、整備が進められていますが、それに先立ち昨年5月に完成した事務所棟内には食堂が以前よりも1軒増えて2軒となり、さらに加工品の売り場も常設されました。今までは市場に食堂があることを(一般の人は)知らないし、松浦市が「アジの水揚げ日本一」であることも知らなかった。魚市場の建て替えと同時期に、松浦市が「アジフライの聖地」宣言を行い、大々的なPRが行われたため大きな効果が出ていると思います。

 だからこそ、魚市場としてやらなければならないことは、せっかく認知された「アジの水揚げ日本一」というのをできる限り維持する、それが一番の貢献になると思います。

観光で来る方が増えたことによる影響はありましたか?

 食堂に来る方が増えたということは喜ばしい事ですが、逆に中で仕事をされている方が自分たちがお昼を食べようとした時に食堂が一杯で思う様な食事が出来ないといったことが発生するなどの影響が出ています。ただ、先ほども話したように「開かれた市場」を目指すにあたって、人が来るというのが一番、要は食堂を維持するということを考えても、人が来ないことには経営が成り立たないので、そういった意味では、今のところ松浦市の努力もあり、一定程度の効果が上がっている気はします。

今回のPRにより、アジの消費アップ、さらにはアジの単価アップにつながりそうですか?

 広く認知してもらうという点ではPR効果があると思いますが、これを商売ベースに乗せるとなると更なる戦略が必要だと思います。

松浦魚市場が今後、特に力をいれて取り組もうとしていることはありますか?

 市場の取り扱い処理能力、これが総じて低下しており、沢山の魚が漁獲された場合、市場が処理しきれないといった状況が発生していますので、この現状を打破するための検討を進めてる所です。

 現在、当市場は他の市場同様に高度衛生管理型の施設の建造を進めております。我々としては、この再整備に踏まえて、今低迷している処理能力をいかに上げていくのか、いかに効率よく高鮮度の状態で水揚げから流通までさせていくのかという課題に対応していくかという状況です。今以上に獲る側(生産者)と受け入れる側(市場)がうまく連携が取れるようになると恐らく良い状況になっていくのではないかと思っております。ここ松浦魚市場は元々生産者によって作られた、「生産者の市場」です。だからこそ、ここ松浦魚市場がその課題に対して先陣をきってやっていこうと思っております。

生産者に対しての要望等はありますか?

 今、遠旋組合の方で洋上での温度変化調査を実施しています。組合には多くの漁業会社が集まっているのですが、やはりお互いがライバル会社であります。だから例えば、どこでこの魚が獲れたのか、どのような鮮度保持の仕方をしているのかという情報はなかなか開示されません。結果、同じ五島沖合で獲れている魚であっても、A社のA丸とB社のB丸では品質が違うということになり、A社のA丸はすごく鮮度がいいのだけれど、B丸はよくない、C丸に関しては論外という判断がされてしまいます。ライバル会社が多数存在している場合だったならば、この差は競争に必要なのですけれども、現在のように数十社しかない場合であるとあまり効果がありません。それ以上に、各生産者が独自のノウハウを一旦開示し、同様の海域で操業する漁業者が獲った魚の品質を一定化させることのほうが重要になってくると思います。そろそろ、同じ海域で操業する数少ない船団同士で競い合う段階から、各船団が協力し各々がきちんと収益を得られるような段階に進む必要があると思います。このように魚の品質を一定化し、高品質な商品を供給し続けることができれば、おのずと商品価値は上がり生産者の利益につながっていくのではないかと思います。

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